厚生労働省は2024年3月19日、第109回薬剤師国家試験の合格発表を行いました。本年の合格率は68.43%と、前年よりわずかに低下しましたが、新卒者の合格率は84.36%と依然高い水準を維持しています。本コラムでは、この結果を受けて薬剤師および薬学生に向けたメッセージと今後の展望をお伝えします。
合格基準の厳正な審査
今回の国家試験では、全問題で420点以上の得点、禁忌肢問題選択数2問以下、必須問題については全問題の70%以上でかつ各科目30%以上の得点が合格基準とされました。688点満点中、これらの基準を満たした受験者のみが新たな薬剤師として認定されるわけですが、この厳しい基準が高品質な薬剤師を育成するための重要な役割を果たしています。
合格者数と合格率の動向
全体の合格者数は9,296名で、出願者数15,118名に対し、受験者数は13,585名でした。特に注目すべきは、新卒者の合格率が84.36%と非常に高い水準を維持している点です。これは、薬学教育の質の高さと、学生たちの努力が反映された結果と言えるでしょう。
問題の配点と特記事項
第109回試験では、特定の問題について配点や採点基準の調整が行われました。これは試験の公平性を確保し、より適切に受験者の知識と能力を評価するための措置です。薬剤師としての専門知識だけでなく、臨機応変な対応能力も求められる今、こうした配点の調整は非常に重要です。
問111 全員を正解として採点する。
問305 複数の選択肢を正解として採点する。
問330 採点対象から除外する。
都道府県別合格者数の傾向
都道府県別に見ると、東京都、大阪府、神奈川県が合格者数の上位を占めるなど、都市部の合格者が多い傾向にあります。これは、教育資源が豊富な地域で学ぶ学生が多いことや、受験指導が充実していることが影響している可能性があります。一方で、各地域の薬剤師ニーズに応えるためには、地方での薬剤師育成も引き続き重要です。
今後の展望
新たに薬剤師の資格を得た皆さんには、これからが本当の挑戦の始まりです。薬剤師としての専門知識を活かし、患者さん一人ひとりに寄り添う姿勢を大切にしてください。また、薬学生の皆さんには、この結果を励みにして、さらなる努力を重ねていただきたいと思います。
第109回薬剤師国家試験の結果は、新時代の薬剤師に向けた一歩と言えるでしょう。医療の現場で活躍する薬剤師として、また薬学教育を受ける学生として、皆さんのこれからの活躍を心から期待しています。
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*出典:厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/goukaku.html