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更新日:2026/6/16

【2026年8月改定】介護施設の食費・居住費(補足給付)引き上げの全容と、施設経営・現場が今すぐ取るべき3つの実務対応

2026年8月から特養・老健などの食費・居住費の負担額が改定

202681日より、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、介護医療院、ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)における利用者の「食費・居住費(補足給付)」の負担限度額および基準費用額が引き上げられます。

今回の改定は、全サービスの平均収支差率(利益率)が2.4%という厳しい経営環境の中、インフレによるコスト高騰に直面する施設経営において、財務の再設計を迫られる重要な節目となります。また、現場では利用者やご家族への丁寧な説明、事務手続きの変更対応など、多くの実務が発生します。

本コラムでは、厚生労働省の最新発出情報(介護保険最新情報Vol.1506など)に基づき、今回の引き上げの背景、具体的な変更点、そして施設経営者や現場スタッフが今すぐ着手すべき3つの実務対応策について徹底解説します。

1. 今回の見直しの背景:なぜ今、食費・居住費が引き上げられるのか?

今回の制度見直しには、主に以下の3つの背景があります。

【1】食材費・光熱費等のインフレ(物価高騰)

近年の記録的な物価高騰により、施設の食事提供や維持にかかるコストが適正な基準を大きく上回っていました。

【2】経営実態との乖離の解消

令和7年度介護事業経営概況調査」において、理にかなった食事提供の平均的な費用と、従来の国が定める「基準費用額」との間に大きな差(乖離)が生じていることが明らかになり、介護報酬改定による見直しが決定しました。

【3】在宅生活者との公平性の確保

在宅で暮らす高齢者が自費で負担している食費・光熱費の負担水準と、施設入所者の負担水準とのバランスを総合的に勘案し、より公平な仕組みへと制度を精緻化する狙いがあります。

2. 【最新ファクト】最新の告示が示す「3つの変更点」

今回の改定では、単に利用者の自己負担が増えるだけでなく、国が定める給付の基準や、対象者の判定基準にもメスが入ります。

変更点①:食費の「基準費用額」が日額1,545円へ引き上げ

施設経営のベースとなる食費の基準費用額が、従来の日額1,445円から1,545円へと100円引き上げられます。国が適正コストの上昇を認めた形となります。

変更点②:第3段階①・②の「負担限度額」の引き上げ

世帯全員が市町村民税非課税で、一定の年金収入などがある低所得者層(補足給付対象者)のうち、「第3段階①」と「第3段階②」の入所者が引き上げの対象です。 (1段階・第2段階の利用者については変更ありません)

具体的な引き上げ額は以下の通りです。

【食費の引き上げ額】(第3段階①・②が対象)

  • 3段階①:日額650 680+30円)ショートステイは1,000 1,030
  • 3段階②:日額1,360 1,420+60円)ショートステイは1,300 1,360
  • 月換算(30日)の影響:およそ 900円~1,800円の負担増

【居住費の引き上げ額】(第3段階②のみが対象)

一部の施設類型を除き、日額100円の引き上げとなります。

  • 特別養護老人ホーム(多床室)430 530
  • 従来型個室(特養)880 980
  • 従来型個室(老健・介護医療院等)1,370 1,470
  • ユニット型個室1,370 1,470
  • 月換算(30日)の影響:およそ 3,000円の負担増

💡 最大の負担増ケース3段階②の利用者が、食費(+60円)と居住費(+100円)の双方で引き上げ対象となった場合、日額160円、月30日換算で「約4,800円」の負担増となります。

変更点③:利用者負担段階の境界線「82.65万円の壁」への見直し(予定)

令和7年度の年金額改定を踏まえ、第2段階と第3段階①の判定基準となる年金収入等基準額(所得基準)が、従来の80.9万円以下から「82.65万円以下」へと引き上げられる予定です(現在改正作業中であり、追って正式通知予定)。

この見直しにより、従来「第3段階①」に分類されていた利用者が「第2段階(より負担の少ない段階)」へスライドするケースが予想されます。自施設の入居者の段階構成がどのように変化するか、事前に注視しておく必要があります。

3. 施設経営への影響と、今すぐ着手すべき「3つの具体的な実務対応」

81日の施行に向けて、現場の混乱と経営リスクを最小限に抑え、インフレ環境下でのキャッシュフローを安定させるために、施設は今すぐ以下の3点に着手すべきです。

対応策①:重要事項説明書の改定とバックオフィス連携の効率化

料金変更に伴い、「重要事項説明書」や契約書の改定、および利用者・ご家族からの再同意取得の実務が必須となります。 直前のバタバタを防ぐため、早めのスケジュール管理が求められます。また、この事務負担を軽減するために、介護ソフトや電子契約システム、電子サイン等を連動させ、バックオフィスの業務効率化(DX推進)を同時に進めることが推奨されます。

対応策②:新ルールを遵守した「負担段階確認手順」の構築

81日以降の利用分からは、市区町村から新しく郵送される「負担限度額認定証」を施設側で確認し、システムに正しく登録し直す必要があります。 個人情報の適切な取り扱いが求められる中、現場の生活相談員や事務スタッフがコンプライアンスを遵守しつつ、迷わずにスムーズに新しい段階を確認・把握できるよう、標準的な業務手順書(SOP)をあらかじめ組織内で構築しておくことが有益です。

対応策③:コスト上昇を踏まえたメニュー・価格設定の再設計

国が食費の基準費用額を1,545円に引き上げたこの機会を、単なる「書類の書き換え」で終わらせず、経営改善の契機として捉える視点も重要です。 例えば、選択制メニュー(付加的な特別な献立など)や追加料金制を導入・再設計している施設では、現在の食材比率やインフレ耐性、価格設定を改めてシミュレーションし、収益改善につなげる好機になり得ます。

4. まとめ:公式リーフレットをフル活用して事前準備を

今回の食費・居住費(補足給付)の引き上げは、利用者側の負担増となるため、「なぜ急に上がるのか」といった問い合わせが現場のケアマネジャーや生活相談員に寄せられることが予想されます。

施設側としては、自施設の入居者がどの段階にどれだけ位置しているのかをデータに基づいて客観的に把握し、予測されるキャッシュフローの変動をあらかじめ経営管理に組み込んでおきましょう。また、厚生労働省が公開している関係者・利用者向けの周知用リーフレットなどをあらかじめ印刷・配布し、丁寧で透明性の高い事前説明を行うことが、信頼関係の維持とスムーズな制度移行の鍵となります。

📋 参照元・公式資料

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