更新日:2025/8/1
離職率改善への新たな一歩:介護現場でのICT活用が生み出す希望の光

こんにちは<m(__)m>
元々人手不足の業界ではありましたが、最近介護職員の不足感、一段と強まりヘルパーの「不足」は83.4%になっているとの情報を介護労働安定センターが7月28日に公表がありました。
www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/
人手不足の解消とまでは行かないまでも、離職率が高い業界でもありますので、離職率の改善と言う事も大きな課題となっています。
今回はその「離職率の改善」として一つの手段をご紹介したいと思います(^^)
深刻化する介護業界の離職問題
介護業界の離職率の高さは、もはや施設運営における最重要課題の一つとなっています。厚生労働省の調査によると、介護職員の離職率は他業種と比較して依然として高い水準で推移しており、多くの施設管理者の皆様が日々この問題と向き合っていることでしょう。
「また一人、貴重なスタッフが辞めてしまった」「新人教育に時間をかけても、なかなか定着してくれない」そんな声が現場から聞こえてきます。人手不足が慢性化する中で、残されたスタッフの負担は増加し、それがさらなる離職を招くという悪循環に陥っている施設も少なくありません。
しかし、この困難な状況に光明をもたらしているのが、介護分野でのICT(情報通信技術)の活用です。適切なICT導入により、業務効率化を実現し、スタッフの働きやすい環境を作り出すことで、離職率改善に成功している施設が着実に増えているのです。
現場の声から見えてくる課題の本質
ICT導入前の現場では、どのような課題が職員のストレスとなっているのでしょうか。実際に施設で働くスタッフの声を聞いてみましょう。
○「夜勤中の見回りが不安でした。利用者様の安全を確認するために頻繁に居室を訪問しなければならず、休憩時間もままならない状況でした」(特別養護老人ホーム・夜勤スタッフ)
○「記録業務に追われて、利用者様との大切なコミュニケーション時間が削られてしまうのが辛かった。本来やりたい介護ケアに集中できない歯がゆさを感じていました」(デイサービス・介護福祉士)
○「スタッフ同士の情報共有がうまくいかず、申し送りに時間がかかったり、ケアの連携に支障が出たりすることがありました」(グループホーム・主任)
これらの声に共通するのは、物理的な業務負担だけでなく、精神的なストレスが大きいということです。利用者様の安全への責任感、質の高いケアを提供したいという想い、それらが現実の業務環境とのギャップによって満たされない状況が、離職の要因となっているのです。
ICT導入で実現した劇的な変化
では、ICT導入によって、これらの課題はどのように解決されているのでしょうか。実際の成功事例をご紹介します。
見守りセンサーが変えた夜勤業務
千葉県のある特別養護老人ホームでは、見守りセンサーの導入により夜勤業務が大きく改善されました。ベッドサイドに設置されたセンサーが利用者様の睡眠状態や起き上がり動作を検知し、スタッフのスマートフォンに通知される仕組みです。
「導入前は2時間おきの見回りで一晩中走り回っていましたが、今は必要な時だけ駆けつければよくなりました。利用者様の睡眠を妨げることも減り、転倒リスクの早期発見も可能になりました」と、夜勤責任者の田中さん(仮名)は語ります。
結果として、この施設では夜勤スタッフの離職率が前年度比で40%減少。働きやすい環境が整備されたことで、新規採用者の定着率も向上しています。
記録業務のデジタル化による時間創出
東京都内のデイサービスでは、タブレット端末を活用した記録システムを導入しました。従来の手書き記録から音声入力やタッチ操作による入力に変更することで、記録業務の時間を約30%短縮することに成功しています。
「浮いた時間を利用者様との会話や個別ケアに充てることができるようになり、スタッフのやりがいが向上しました。『この仕事を続けていて良かった』という声をよく聞くようになりました」と、施設長の山田さん(仮名)は効果を実感しています。
この施設では、ICT導入と並行してスタッフの意見を積極的に取り入れる体制も整備。結果として年間離職率を15%から8%まで改善することができました。
明日からできる小さな一歩
ICT導入というと大がかりなシステム変更を想像される方も多いかもしれませんが、実は小さなところから始めることが成功の秘訣です。
ステップ1:現状の課題を整理する
まずは現場スタッフとの対話を通じて、日常業務で最も負担に感じている作業を特定しましょう。「記録に時間がかかる」「夜勤が不安」「情報共有がうまくいかない」など、具体的な課題を洗い出すことから始まります。
ステップ2:小規模なトライアルから開始
一度にすべてを変えようとせず、まずは一つの課題に絞って対策を検討します。例えば、見守りセンサーなら1~2部屋から試験導入する、記録システムなら一つの業務から電子化するといったアプローチが効果的です。
ステップ3:スタッフの声を反映したカスタマイズ
ICTツールを導入する際は、実際に使用するスタッフの意見を積極的に取り入れることが重要です。「使いやすさ」を最優先に考え、必要に応じてシステムの調整や運用ルールの見直しを行いましょう。
ステップ4:効果測定と改善
導入後は定期的に効果を測定し、課題があれば改善していく継続的なプロセスが大切です。離職率だけでなく、スタッフの満足度や業務効率化の指標も併せて評価することで、より包括的な改善につなげることができます。
希望ある施設運営に向けて
ICT活用による業務効率化は、単なる技術導入ではありません。スタッフの働きやすい環境を整備し、質の高いケアを持続可能な形で提供するための重要な投資なのです。
離職率の改善は一朝一夕には実現できませんが、小さな変化の積み重ねが大きな成果をもたらします。見守りセンサーによる夜勤負担の軽減、記録システムによる時間創出、そして何より「利用者様のために」という想いをしっかりと実現できる環境づくりが、スタッフの定着につながっているのです。
これからの介護現場において、ICTは決して「敷居の高い技術」ではありません。現場の声に耳を傾け、スタッフと一緒に課題解決に取り組む姿勢があれば、どの施設でも活用できる身近なツールとなります。
まずは現場との対話から始めて、皆様の施設に最適なICT活用の形を見つけてください。その一歩が、スタッフにとって働きがいのある職場、利用者様にとって安心できる環境、そして持続可能な施設運営への道筋となることでしょう。
離職率改善への挑戦は決して簡単ではありませんが、ICTという新たな可能性を活用することで、きっと希望ある未来を切り開くことができるはずです。