更新日:2025/5/14
高齢社会の「司令塔」が危機に!ケアマネジャー高齢化の現実と打開策

こんにちは<m(__)m>
今回は皆さんも肌で感じている危機感ではないかと思いますが、ケアマネジャーさんの状況についてまとめてみました。
介護現場の要、ケアマネジャーの「高齢化」という新たな課題
福祉現場の皆さんは日々感じているのではないでしょうか。
介護の需要が高まる一方で、その中核を担う人材の不足が深刻化しています。
人口の29.3%が65歳以上という世界でも類を見ない超高齢社会・日本。私たち福祉従事者は、この現実に向き合いながら日々奮闘しています。しかし今、介護サービスの「司令塔」とも言えるケアマネジャーの人材不足と高齢化が新たな危機として浮上しています。
<数字で見る日本の超高齢社会の実態>
2024年9月の総務省統計によれば、日本の総人口は前年比で59万人減少する一方、65歳以上の高齢者は2万人増加して3625万人に達しました。これは総人口の29.3%を占め、人口10万人以上の200の国や地域の中で最も高い割合です。
さらに厚生労働省の研究班の推計では、2025年には認知症患者数が471万6000人に達し、2040年には584万人を超えると予測されています。
つまり、65歳以上の高齢者の約15%、6.7人に1人が認知症になる計算です。
こうした状況を反映し、2023年3月末時点で要介護・要支援認定を受けた高齢者は694万人に上り、実際にサービスを利用している高齢者も599万人に達しています。特に75歳以上では要介護認定を受ける割合が急増し、要支援が8.9%、要介護が23.4%と、75歳未満の高齢者と比較して大幅に高くなっています。
<ケアマネジャー不足の深刻な実態>
このように介護需要が急増する一方で、介護サービスの要となるケアマネジャーの数は減少傾向にあります。
2020年度に約18万8000人だったケアマネ従事者数は、2022年度には約18万3000人に減少。また、資格試験の受験者数も1998年度の第1回試験時の約20万7000人から、2023年度には約5万6000人まで減少し、2024年度はさらに4.9%減の約5万4000人となりました。
最も憂慮すべきは、現役ケアマネジャーの年齢構成です。
2022年度のデータによれば、60歳以上のケアマネジャーは全体の約33.5%を占めており、45歳未満の若手従事者の割合は年々減少しています。
このままでは定年退職によるさらなる人材不足が確実視され、私たち福祉現場の負担はますます増大することになるでしょう。
<現場からの視点:ケアマネジャー業務の実態>
多くの福祉従事者が実感していることですが、ケアマネジャーの業務負担は年々重くなっています。
ケアマネジャーは介護支援専門員として、利用者の状態評価、ケアプラン作成、サービス提供事業者との調整、利用者・家族への相談対応など、多岐にわたる業務を担っています。
介護保険制度において、利用者が適切なサービスを受けるための「司令塔」として不可欠な存在です。
しかし、書類作成や事務手続きの煩雑さ、利用者や家族との調整の難しさ、24時間体制での対応など、負担は決して軽くありません。特に高齢のケアマネジャーにとって、日々変化する制度や電子化への対応も大きな課題となっています。
<打開策の模索:厚労省の取り組みと現場での工夫>
こうした状況を打開するため、厚生労働省ではいくつかの対策を検討しています。
〇資格取得のハードルを下げる取り組み:受験対象となる指定国家資格の範囲拡大や、保健・医療・福祉分野で一定の教育を受けた者が活動できる養成ルートの確立
〇潜在ケアマネの職場復帰促進:自治体や職能団体と連携した復職支援、オンライン研修の導入、復職後研修内容の緩和
シニア層のケアマネが長く働ける環境整備:業務時間の短縮や勤務日数の調整による負担軽減、柔軟な働き方の導入
<福祉従事者にできること>
ケアマネジャー不足の問題は、福祉に携わる全ての人の課題です。現場で今できることとして、以下のような取り組みが考えられます。
・チーム体制の強化:ケアマネジャー一人に負担が集中しないよう、事務作業の分担や相談体制の整備
・ICT活用による業務効率化:デジタル化による書類作成・管理の簡素化
・世代間の知識・経験の共有:ベテランケアマネの経験を若手に継承する仕組みづくり
・地域ネットワークの構築:地域内の福祉事業者間での連携強化による負担分散
介護の質を維持しながら持続可能なシステムを構築することは、私たち福祉従事者の使命です。ケアマネジャーという「司令塔」を守り、支えることが、今後の日本の介護システム全体を守ることにつながるのではないでしょうか。
※本コラムは、甚野博則氏の著書『衝撃ルポ 介護大崩壊 お金があっても安心できない!』の内容を参考に作成しています。